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迷惑な空き家の雪かき、もう限界。元プロが教える実家を「負動産」にしない期限と手続き

迷惑な空き家の雪かき、もう限界。元プロが教える実家を「負動産」にしない期限と手続き

「私は今朝も、誰も住んでいない隣の家の雪かきをしました」 「持ち主に代わって伸び放題の植木を切りながら、私はいつも思うのです。『もしこの家が、自分の実家だったら?』と」

私は恐ろしくなります。

実家がこんな家だったら、近所に迷惑をかけて、どんな悪評が立っているのだろうと。
町内会のおじさんも、新聞配達のお兄さんも、きっとこう思っているはずです。『この家はもうダメだな』と。

雪かきをした後に襲ってくる腰痛はきつい。
伸び放題の植木を切った夏場にイライラした挙句、生垣バリカンで親指を深く傷つけたこともあった。

時間が奪われるばかりか、リハビリの通院は増えるし、自己犠牲の代償がこれではきつ過ぎる。

自分だって生活のためにやることがあるんだ。やりたくないよ、こんなことは。
でも、やらなかったら、我が家に危害が及ぶから仕方ないか…

そんな葛藤に突き動かされ、近年批判を浴びる空き家問題について真面目に考えてみたくなり、この記事を書きました。

目次[閉じる]

放置された実家、近隣住民はこう思っています(隣人の本音)

隣の家の持ち主は東京に住んでいて、稀に(年に2回~4回くらい)帰省しているようだ。
庭を手入れしているような気配もあるが、1日や2日実家にいて帰ってしまう。

こんな状況では、持ち主に満足な管理ができるわけがない。

雑草がはびこり、植栽が伸びる5~7月は、我が家と隣の庭の除草・剪定で忙しい。
こまめに隣の家の分までやらないと、蜘蛛や害虫が我が家の庭に押し寄せてくる。

雑草の種が飛んでくる。樹木の枝が伸びて家の外壁に当たれば、傷つく恐れがある。
隣の家の庭から狭い道路に大きくはみ出た枝木を切らないと、子供やお年寄りに危険だ。

大雪に見舞われる1月と2月の朝は、特に憂鬱になる。

朝4時に起きて、すぐに雪かき。
隣の分もあるので、早朝からやらないと、間に合わない。
道路が狭く行き止まりだから、こまめに除雪しないと、車が出れなくなったり、タイヤが雪にはまり込むリスクがあるのだ。

ハードな除雪作業は、腰を直撃する。
度を越した作業は激痛を招き、動けなくなくこともある。

何度か持ち主に電話をして「なんとかならないか」と持ちかけたが、一向に改善しないので今は諦めている。

隣組の人に相談したが、「はみ出た枝が邪魔」「ボロ屋で見苦しい」「不審者の住処にならないか」など、やはり迷惑しているようだ。
ただ、空き家に隣接していないと、その深刻さはあまり伝わらないようで、所詮他人事でしかないのかなと思う。

万が一、不審者に放火でもされたらと思うと、ゾッとする。

隣人はとても迷惑しています。
「固定資産税を払っているからいいだろう」は通用しません。

将来売却するとしても、悪い噂は広まりやすく、ご近所トラブルは「足かせ」になるリスクがありますよ。
空き家に対する世間の目は、とても厳しくなっているのです。

放置すると税金が6倍に?「特定空き家」「管理不全空き家」の恐怖

【重要】3行まとめ
  • 放置すると行政から「指導」が来る
  • 無視すると「固定資産税の優遇」が消える
  • 結果、税金が約4倍〜6倍に跳ね上がる

空家を放置すると、固定資産税が最大で6倍になったり、過料や罰則を課されるリスクがあります。
「要するに、損したくないなら急いでどうにかしろ」という行政の警告なのです。

増え続ける空き家の放置を取り締まる「空家等対策の推進に関する特別措置法」が2015年に施行されました。
この法施行により「特定空き家」制度が、2023年12月には「管理不全空き家」制度も導入。

自治体(市区町村)によって、認定基準や認定後の措置が運用されるようになったのです。

「特定空き家」又は「管理不全空き家」に認定されて勧告を受けると、固定資産税の優遇(1/6)がなくなります。
さらに「特定空き家」では、過料や罰則も課されます。

特定空き家とは?

簡単に説明すると、下記のいずれかに該当する空き家のこと。

  • 倒壊などの危険がある
  • 衛生上、有害となるおそれがある
  • 景観を著しく損なっている
  • 周辺の生活環境に悪影響を及ぼしている

認定されると、自治体から助言・指導があり、指導に従わないと勧告、さらには命令が出されます。
優遇措置の解除に加えて、過料・罰則のリスクがあるのです。

「管理不全空き家とは?」

適切な管理がされておらず、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある空家のこと。
認定されると、自治体から助言・指導がなされ、指導に従わないと勧告が出されます。

要するに、放置が深刻で危険・有害と判断されれば特定空き家に、管理不十分で問題が出始めていると判断されれば管理不全空き家に認定されるということです。

人が住んでおらず使われていない家を「空き家」といいますが、これを放置すると「管理不全空き家」、さらに放置すると「特定空き家」に認定されるリスクがあるということ。

空き家 → 管理不全空き家 → 特定空き家の流れで段階的に悪化、ペナルティが厳しくなるイメージです。

なぜ税金6倍なのかを詳しく解説

不動産を持っていると、毎年、固定資産税がかかります。
さらに、その不動産が市街化区域にあれば、都市計画税もかかります。

基本的に,それぞれの税額は次の計算式で算定されます。

固定資産税=課税標準額 × 税率(1.4%)
都市計画税=課税標準額 × 税率(0.3%)

しかし所有する土地に住宅が建っていると、有難い特例を受けられます。

住宅用地の課税標準の特例」により、土地の課税標準額について規模に応じた大幅な軽減が実施されているのです。

小規模住宅用地(200㎡以下)

固定資産税=課税標準額 × 1/6 × 税率(1.4%)
都市計画税=課税標準額 × 1/3 × 税率(0.3%)
※(課税標準額は税金計算の基礎となる金額)

一般住宅用地(200㎡超)

固定資産税=課税標準額 × 1/3 × 税率(1.4%)

都市計画税=課税標準額 × 2/3 × 税率(0.3%)

ここでは、200㎡以下の小規模住宅用地をピックアップして解説します。

上記枠内の計算式を見ると、特例によって課税標準額が固定資産税1/6、都市計画税1/3に軽減されています。

しかし、「特定空き家」「管理不全空き家」に認定されて指導に従わないと、この特例が受けられなくなります。
その結果、小規模住宅用地で本来の重い税額が課されます。
課税標準額が「1/6」から「1」に、「1/3」から「1」になるので、固定資産税は6倍、都市計画税は3倍になるわけです。

合計(固定資産税+都市計画税)の税額では、約4倍~5倍になることが多いようです。
都市計画税の課されない市街化区域外の小規模住宅用地では固定資産税の6倍のみ。

結果として、土地の税負担額が約4倍から最大で約6倍に跳ね上がるということです。
例えば、これまで年間5万円だった土地の税金が、いきなり20万円〜30万円の請求書に変わるイメージです。

固定資産税が6倍になった請求書を見て驚き震える中高年男性

実際には負担調整措置という急激な増税を抑える仕組みがあるため、特例が外れた翌年にいきなり最大で6倍になることはありません。
この措置は、解除の翌年は軽い増税ですが、毎年段階的に増額していき、数年かけて本来の重い税額へ引き上げていきます。

つまり、自治体からの「勧告」は、単なる増税の始まりではありません。
「このまま放置すれば数年後には高額な税負担がありますよ」という強い警告なのです。

特定空き家の過料・罰則とは

特定空き家では、勧告を受けた後に改善がみられないときは、法的義務を伴う命令が下されます。

命令に正当な理由なく従わないときは、50万円以下の過料が課されることもあります。

命令を無視して放置すると、行政代執行により自治体が空き家の解体や修繕を強制的に執行。
その際に発生した費用は、空き家の持ち主に請求されます。

【知らないと損】売るなら「3年以内」が勝負!「3,000万円特別控除」とは

相続で取得した遠方にある親の家をどうしようか?と迷っている人、急いでください。
「まだいいや」と放置している間に、数百万円の節税チャンスを逃しているかも?

相続開始(親などの被相続人が亡くなられた日)から3年後の年末までに、空き家を売却すれば非課税又は大幅に税金を減らせる可能性があります。

《3年後の年末のイメージ》

スマホ用-空き家にかかる譲渡所得の特別控除は相続開始から3年後の12月31日まで

PC用-空き家にかかる譲渡所得の特別控除は相続開始から3年後の12月31日まで

不動産を売ると大きな税金が発生しますが、空き家の売却には特別控除「空き家にかかる譲渡所得の特別控除」が認められています。
この特別控除を活用すれば、非課税又は大幅に税金を減らすことができますよ。

あなたは、被相続人(亡くなった方)の居住用であった家屋を相続しましたか?
相続した場合は、相続開始から3年後の年末までに売却すれば、その譲渡所得の金額から最大で3,000万円を控除することができます。

(家屋の相続人が3人以上いる場合には、控除額は2,000万円まで)

次の主な要件に該当すれば、特別控除を受けられる可能性があります。

  • 相続または遺贈により家屋と敷地を取得した相続人が売却すること
  • 相続開始日から3年を経過する年の12月31日までに譲渡したこと
  • 相続開始まで被相続人(亡くなった方)の居住用に供されていて、その後、相続によって空き家になったこと
  • 相続開始の直前において被相続人以外に居住していた人がいなかったこと
  • 1981年5月31日以前に建築された家屋であること
  • マンションなど区分所有建物でないこと

要件が複雑なので、「Yes/Noで特別控除の可否がわかる簡易フローチャート」を、下の方にご用意しました。

特別控除を受ければ、次のように課税譲渡所得(税金が課される対象となる金額)が計算されます。

課税譲渡所得 = 譲渡益 - 3,000万円(※相続人が3人以上いれば、2,000万円控除)
※譲渡益は売却代金から、取得費(亡くなった方がこの不動産を買った時の価格)と譲渡費用(仲介手数料)の合計を差し引いた金額。

つまり地方の一軒家なら、課税譲渡所得はマイナスとなり、非課税になる可能性が極めて高いです。

※この特例は、2027年12月31日までに譲渡した場合に適用されます。
(2026年1月現在、2028年以降に延期される見通しは不明)

《では、フローチャートを開始しましょう!》

スマホ用-空き家特例チャート1:相続時期の確認

PC用-空き家特例チャート1:相続時期の確認

次は売却チェックと、まだ売っていない人の空き家チェック

スマホ用-空き家特例チャート2:空き家売却と経緯の確認

PC用-空き家特例チャート2:空き家売却と経緯の確認

このチャートで「まだ売っていない人」の特別控除の可否がわかる!

スマホ用-空き家特例チャート3:相続人の人数条件と適用要件の詳細

PC用-空き家特例チャート3:相続人の人数条件と適用要件の詳細

4枚目からは「すでに売却した人」専用のフローチャート、売却要件をチェック

スマホ用-空き家特例チャート4:売主の売却条件の確認

PC用-空き家特例チャート4:売主の売却条件の確認

5枚目は申告の有無と売却時の状態をチェック

スマホ用-空き家特例チャート5:申告の確認

PC用-空き家特例チャート5:申告の確認

いよいよ最後のチェック!売却条件ではじかれても、まだチャンスはあります

スマホ用-空き家特例チャート6:緩和措置の詳細

PC用-空き家特例チャート6:緩和措置の詳細

以上でフローチャート終了です、お疲れさまでした。

実家じまいの第一歩。まずは「査定」と「片付け」から

住む人がいなくなった家をどうするか?

解決策としては次のようなことが考えられます。

  • 管理する(定期的に清掃・修繕をおこなう、管理会社へ委託する)
  • 売却する(なるべく早期に売却する)
  • 賃貸に出す(空き家をリフォームして貸し出す、空き家を取り壊し更地にして貸し出す)

ズバリ進言いたします。
迷っているなら売却しましょう!

住んでもいないのに、毎年、税金とられるなんて馬鹿らしくないですか?

ご自分で管理できなければ、管理会社への委託となって以後、継続的に費用が発生します。
リフォーム・取り壊し費用などをかけて賃貸するにしても、借り手が現れるとは限りません。

売却して現金化するのが最も賢明な選択だと思います。

売ると決めたら、早めに行動を起こしましょう。
空き家売却の特別控除は相続開始から3年というタイムリミットがありますし、放置が長引けば長引くほど資産価値も下がってしまうからです。

売却が視野に入ってきたら、まずは空き家の査定をオススメします。

いくらで売れるかがわからないと、親族で話し合いもできません。

正しい査定の出し方や詳しい査定の裏話は、こちらの記事で解説しています。

売却する場合、事前に空き家の「片付け」は必須の作業です。
内覧者の印象を良くして、早く高く売るために片付けは欠かせませんが、思いのほか「お金」と「手間暇」がかかる作業です。

考えるだけで気が重くなりますが、全部自分でやらなくていいのです。
まずは査定を受けて『売却予想額』を知り、そこから『片付けの予算』を割り出すという考え方もあります。

どういうことかと言うと、査定を受けた結果、「この家は500万円で売れる」とわかれば、
あとで500万円入ってくるなら、その中から必要経費として30万円を片付けに使っても、手元に470万円残ると計算できますよね。

「いずれ手に入るお金で労力と時間を買う、厄介な作業は専門の業者に任せる」こう考えると、気が軽くなりませんか?

なお、多くの自治体では「空き家バンク」への登録を条件に、家財処分費用の一部を補助する制度を設けています。
ご興味があれば、お住いの市区町村へ問い合わせてみると良いでしょう。

まとめ

実家は、誰にとっても、子ども頃に過ごした思い出の場所です。
そこには、親に褒められたこと、怒られたこと、家族みんなで過ごした楽しい時間、兄弟喧嘩して辛かったことなどの懐かしい思い出がたくさんつまっています。

手放したくないお気持ちはよく理解できます。
ですが、放置すれば「近隣の迷惑」になり「資産価値」も下がってしまうのです。

ご自身が元気なうちに、家族で空き家をどうするかについて話し合い、最適な決断をしましょう。
「不動産」を「負動産」にしない配慮こそが、将来「貴方を相続する子供への愛」といえるのではないでしょうか。

正直に言います。隣の家の枝を切っている時、私は持ち主の方を少し恨みました。
でも、事情を知れば責められないこともわかっています。だからこそ、早く楽になってほしいんです。

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